こんにちは、まなびやです。
年の瀬が近づくと、深夜の寒空に「ゴーン…」と響き渡る除夜の鐘を思い出す方も多いのではないでしょうか。
そもそも除夜の鐘とは何か、どうして大晦日に108回も撞(つ)くのか、そして他国ではどのように年を越しているのか。
今回は、そんな疑問を深掘りしながら、文化・歴史・科学の視点で除夜の鐘の魅力をじっくり味わってみましょう。
思わず誰かに話したくなる雑学やトリビアも盛りだくさんですよ!
1. 除夜の鐘とは? その由来と意味
1-1. 除夜の鐘の基本イメージ
除夜の鐘とは、大晦日の夜から元旦にかけて、お寺の鐘を108回撞(つ)く行事のこと。
多くのお寺で深夜になると鐘を撞き始め、人々はその音に耳を傾けながら旧年と新年の境目を迎えます。
1-2. 108回という数字の由来
よく知られる説としては、「人間には煩悩が108つあるから、その煩悩をひとつずつ取り払うために108回撞く」というもの。
仏教的には、四苦八苦(4+8+9=121のような説)や、
六根(目・耳・鼻・舌・身・意)に関する煩悩がそれぞれ18種あるから計108など、
諸説がありますが、いずれも“煩悩を捨て去り清らかな心で新年を迎える”という考え方が根底にあります。
2. 歴史を振り返る──鐘の音が紡ぐ年越しの風景
2-1. 中国・朝鮮半島の影響?
実は鐘を撞いて時を告げたり、邪気を払ったりする風習は、中国や朝鮮半島など、東アジアの仏教文化圏でも古くから見られました。
日本に仏教が伝来して以降、寺院に大きな梵鐘を設置する習慣が広まり、やがて正月行事との結びつきが生まれたと考えられています。
2-2. 除夜の鐘と武家社会の関連
江戸時代、寺院は武家や庶民の信仰を一手に集める中心的存在でした。
年末の風習として鐘を撞き、いっしょに“一年の厄”を払うという意味合いが庶民レベルにまで浸透し、全国的なイベントへと発展したという説もあります。
※なお、江戸の町では除夜の鐘だけでなく、初詣や門松などの年中行事も大々的に行われ、いずれも“新年を清々しく迎えるための風習”として根付いていきました。
3. どんな鐘? 科学で見る梵鐘の秘密
3-1. 梵鐘の構造と材質
多くの寺院にある梵鐘は、銅や錫(すず)などの金属を含む合金(青銅)で作られています。
表面には凸状の「乳(ち)」が複数配置され、撞く位置や角度を微妙に変えることで音の響きが違ってくるのが特徴。
- 鐘の厚み:あまり薄すぎると割れてしまい、厚すぎると重く鳴りにくい。
最適な厚み設計により、美しい低音を生み出す。 - 乳(ち)の働き:鐘の振動を整え、余韻を長く保つ一種の“リブ効果”とも言われています。
3-2. 音響学的にはどう聞こえる?
鐘を鳴らした直後、周波数解析をしてみると複数の振動モードが確認されます。
倍音構成が複雑で、耳には「ゴーン…」と重厚な響きとして伝わるのが梵鐘の特徴。
- 余韻の長さ:大きな鐘だと、最大で十数秒以上の余韻が続くことがあり、その音が寺院の境内に染み渡ることで“厳かな雰囲気”が演出されるわけです。
- 物理的に見ると:金属の一部が振動している状態ですが、それが「煩悩を払い、新年を迎える」という精神的なイメージと結びつくことで、独特の神聖性が生まれるのかもしれません。
4. 諸外国との比較:日本だけのイベントなの?
4-1. 欧米のカウントダウン事情
欧米では、大晦日にカウントダウンイベントを大々的に行う地域が多いですよね。
ニューヨークのタイムズスクエアでの大きなボールを落とすイベントや、英国のビッグベンが鐘を鳴らす映像は世界的にも有名。
しかし、その回数が108回というようなこだわりはほぼ見られません。
12回程度(時計の針を象徴)で年を越す合図とするところが一般的です。
4-2. 他のアジア圏はどう?
お隣の韓国や中国でも、年末年始には各地で鐘を鳴らすイベントがありますが、“108回”というよりは寺院行事の一環として独自の回数やタイミングで行うことが多いです。
また、中国では旧正月(春節)を盛大に祝う文化があるため、大晦日は西暦ベースでそこまで大きな行事と結びつかない地域もあります。
5. データで見る除夜の鐘──どれくらいの人が体感している?
5-1. 全国の寺院数
文化庁の「宗教年鑑」によれば、日本には約7万5千ヵ所を超える寺院があるとされています。
すべてが除夜の鐘を実施しているわけではないですが、多くのお寺が年末年始に鐘撞きイベントを行っているのは事実です。
5-2. 新聞調査からの推計
一部の新聞社の年末アンケートでは、「大晦日に除夜の鐘を聞いた(または撞いた)ことがある」と回答する人がおよそ70~80%にのぼるというデータも。
紅白歌合戦や行く年来る年と並んで、日本人が年末にイメージする光景のひとつとして定着していることがうかがえます。
6. 雑学コーナー:除夜の鐘にまつわるトリビア
- 「一人一撞き」で108回達成
除夜の鐘では、お寺によっては参拝者ひとりひとりが1回ずつ撞いて、108回を目指すスタイルがあります。
元旦が近づくと並ぶ人も多く、除夜の鐘待ちの行列ができる寺も。 - 深夜の騒音問題?
都市部では「深夜に大きな鐘の音は騒音では?」という議論が生まれ、苦情や規制が課された地域もあります。
近年は音量を控えめにしたり、時間帯を早めたりと配慮するお寺が増えているとのこと。 - 年越しそばとセット?
除夜の鐘が鳴るころには年越しそばを食べ終わっているという方も多いですよね。
実はそばの“切れやすさ”にあやかり、旧年の悪縁や厄を断ち切るという願いがあるのだとか。
梵鐘の厳かな音とともに、新たな年へ一歩踏み出す準備をするのが日本流の年越しスタイルといえます。 - 煩悩108の内訳
「一体どんな煩悩が108もあるの?」と疑問に思う方もいるはず。
代表的には欲・怒・愚の煩悩とされる“三毒”を基盤に、多角的に派生させることで108を数え上げる考え方があります。
心理学的にも、人が抱える悩みの種は数多く、それを象徴的に108という数字で示しているようですね。
7. 結論:新たな年を迎える音色、あなたはどう楽しむ?
除夜の鐘は、108回の“ゴーン”という低く深い響きで煩悩を取り払い、清々しい気持ちで新年を迎える日本独自の文化として定着しています。
- 歴史的には、仏教伝来から始まった寺院文化に、お正月の厄払い行事が合流して生まれた行事。
- 科学的には、鐘の構造や音響が独特の響きを生み出し、人々の心を落ち着かせる。
- 国際比較では、カウントダウンやイルミネーションなど他国の年越しスタイルはさまざまですが、108回というこだわりや煩悩払いという考え方は、日本特有のものといえます。
このように、除夜の鐘には長い歴史と豊かな意味が凝縮されています。
大晦日の夜、テレビ越しに流れてくる鐘の音や、お寺で実際に響くその音をじっくり耳にしてみると、「あ、私も今年の煩悩をちょっと振り返ろうかな…」なんて気分になるかもしれません。
そして、もし鐘を撞ける機会があれば、自らゴーンと打ち響かせるのも一興。
そこには過去から受け継がれてきた伝統と、私たち個人の思いが交差する不思議な静寂と感動があるはずです。
ぜひ次の年越しには、除夜の鐘に耳を傾け、どんな響きや心境が訪れるか味わってみてください。
きっと、誰かに話したくなるほど印象深い体験になるでしょう。









